銀行員10年目のチャルトンリサです。
今はベンチャー企業の審査担当業務をしています。
経営者は、将来的な戦略として、IPOや大企業からのM&Aによる買収を
描いていることが多いため、エクイティ調達はできるだけ避けたいものです。
だから、VCやエンジェル投資家ではなく、銀行からの借入(デット)を
望みます。
そんな経営者の方に向けて、今回は銀行が見ているベンチャー企業への融資の
ポイントを紹介します。
<目次>
- 1.会社の強み(技術、製品、ノウハウ等)は何か?
- 2.参入障壁は高いか?
- 3.知ってもらいたい資料を事前に出す。
- 4.作れる(量産化できる)のか?
- 5.売れるのか?
- 6.何に使うのか?(資金使途)
- 7.どうやって返すのか?(返済原資)
- 8.資金繰りは?
1.会社の強み(技術、製品、ノウハウ等)は何か?
銀行員がまず気にするポイントです。
ベンチャー企業は業歴が短く、相談が来た時には「売上がゼロ」なんていう
会社もたくさんあります。そうした場合に過去の決算書を見て、事業性を
評価することはできませんし、貸したお金が返ってくるかどうかは
判断できません。
ですので、銀行は、会社の成長性・将来性を見て判断します。
会社が持っている技術や製品が既存のものよりも如何に優れているのか、
または新たなビジネスとなり得るのか、こういった点をきちんと説明できる
資料を用意してください。
2.参入障壁は高いか?
次に、会社の属するマーケットは参入障壁が高いかどうかを確認します。
モノは優れていても、誰でも作れて売れるものだと、大手企業が参入して
くるとベンチャーでは太刀打ちできません。
会社として成長していくために、どういう特許を持っているのか?競争力の
源泉は何か?は、重要なポイントになります。
銀行員も多くが、あなたの業界のことはよくわかっていません。銀行員は、
会社からの説明なしに、あなたの会社の良さを銀行内で語ることが
できません。
ですから、経営者から、しっかりと会社の強みを語ってもらえると、
銀行からの評価も上がりますし、銀行員も行内を通しやすくなります。
3.知ってもらいたい資料を事前に出す。
銀行の営業マンは基本的にすべての会社に融資したいと思っています。
でも、行内の審査セクションを説得できずに謝絶となることが
多々あります。
よくあるのは、審査セクションの質問に対してうまく説明できない
ことです。営業マンが、社長から聞いた話をそもそも理解できていない
こともありますし、タイミングによっては重要なことでも聞き流して
しまうことがあります。
この場合、審査担当者が営業マンに話を聞いても、会社の強みや将来性を
理解することができずに、慎重な対応になってしまいます。
こうしたことを避けて、会社の強みや成長性を審査担当者に知ってもらい、
会社の評価を上げるためには、事前に資料を提出するようにしてください。
手間はかかるかもしれませんが、それが融資を獲得するための近道です。
いろいろな銀行を回ることを考えれば負担もそれほどではないですし、
自社のことを整理するよい機会になるとも言えます。
4.作れる(量産化できる)のか?
会社の強みが分かったところで、モノを作れるのか?が
ポイントになります。
・製造工場は確保してるか?
・部材調達先(仕入先)は確保しているか?
試作品は自社で作れるけど、量産化できないというベンチャーは
多々あります。いくらすばらしい技術があっても、製品化できなければ
意味がありません。最近では固定費削減のためにファブレスにすることが
多いですが、特にそうした企業は協力工場を確保できているのかが
ポイントになります。
銀行としてはあくまで事業に対して融資をしますので、作れないと
いうことでは融資することは非常に難しくなります。
5.売れるのか?
そもそも売れなければ、ビジネスにはなりません。ベンチャーの審査
担当者は、企業がどういうところにどうやって売っているのかを
見ています。
・販売ターゲット(顧客層、販売エリア、BtoB、BtoC等)と顧客ニーズ
・販売チャネル(ネット、代理店、直販等)
・販売実績(予約や受注状況、申し込み等も含む)
もちろん実現可能性が高いほど好材料になりますので、注文書や
予約状況のわかる資料を提出すると評価が上がります。
6.何に使うのか?(資金使途)
お金を借りる理由です。銀行員は、運転資金、設備資金、つなぎ資金、
赤字資金、決賞資金などあなたの会社でなぜお金が必要なのか?を
確認します。
7.どうやって返すのか?(返済原資)
資金使途によって、返済原資は決まってきます。
・仕入資金:売上回収金
・設備資金:営業利益(+減価償却費)
・つなぎ資金:補助金、資本金など
・赤字資金:将来産み出されるお金
(リストラ等による経費削減、事業拡大による売上増加)
・決賞資金:営業利益
8.資金繰りは?
資金繰りは現預金が尽きないで融資期間を凌げるかをみています。
資金使途や返済原資が明確であっても、返済期日前に資金繰り破綻しては
意味がありません。
月次で資金繰り表を作成して、融資期間の資金繰りに問題がないことを
銀行に示しましょう。
その際は、きちんといつどういうお金が入ってきてどういうお金が出て
いくのかをしっかりと説明できるようにしてください。
銀行員はその資金繰りが妥当かどうか検証して質問をしてきます。
その際に、適当に回答すると信ぴょう性なしと判断されて、融資判断に
不利に働きます。
具体的には、収入であれば、どこからの売上がいつ立ってその回収が
〇か月後に入るといった具合に説明できるようにしてください。
また、資金繰りの作成期間は、最低でも融資期日までは必要です。
銀行員は、返済期日までの資金繰りを確認するので、それがなければ
意味がありません。
<まとめ>
いかがでしたか?意外と簡単ではないでしょうか?
皆さんも、さっそく資金調達にチャレンジしてみてはいかがですか?
皆さまの事業がうまくいきますように
ではまた